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「食の安心拠点を作りたい」3年間のシェアハウス運営を経て見えてきたもの

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2016年の冬、東京都杉並区にあるシェアハウス「夢ベジハウス」が3年目を迎えました。夢ベジハウスを夫とともに運営するのは、上林さき(かみばやし さき)さん。現在7人の仲間が共同生活を送るシェアハウスを運営する上林さんですが、社会人になったころは「シェアハウスを作りたい」という考えは特になかったといいます。

そんな上林さんが、単なる共同で物件を借りるシェアハウスではなく、「仲間と共に暮らす家」を作ることにしたきっかけと想いを知るべく、今回お話を伺いました。

■大学時代から、互いの夢を応援する空間を作りたかった

−まず、シェアハウス「夢ベジハウス」をつくるまでのことを教えてください。

上林さん(以下、上林) 夢ベジ(夢ベジハウス)を始める前は、新卒で入ったIT企業で4年半働いていました。その時は、「シェアハウスを作ろう」とは思っていませんでした。パートナーとの二人暮らしを楽しんでいたし、共同生活に特に良いイメージも抱いていませんでした。
ただ、大学時代からずっとコミュニティカフェをやりたい、という思いはありました。好きな仲間と集まって、互いの夢を応援するような空間を想像していました。今思うと、夢ベジハウスで仲間でリビングに集うような感じがその思いと似通っていたのかもしれません。

- シェアハウスを作ろうことを決められたきっかけは何だったのでしょうか。

上林 毎年、パートナーと一緒に年明けに「今年叶えたい100の夢リスト」を書くんです。その中で、「家」に関することがいっぱい出て来たんですよね。そんな時に、パートナーのメンターから、シェアハウス運営のオファーが来ました。その時、「その夢が叶えられる」というふうに思えたことがきっかけです。
自分の中で最終的なゴーサインが出たのは、「東京の食の安心拠点を作ろう」という思いが湧いてきた時です。その頃、自分もゆるくベジ生活をしていたのですが、都内でそうした安心な食で生きていこうとすると、難しいんですね。そうした食の安心を得られる場所を作り続けよう、という思いは今もずっと変わっていません。

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−シェアハウス運営をしていて、嬉しい瞬間はどんな時ですか。

上林 夜、パートナーと一緒に自分たちの部屋に戻って床につくと、一緒に暮らす仲間が楽しそうに話している声が聞こえるんです。それを聞いて「楽しそうだね、幸せだね」と感じる時がいちばん幸せを感じる瞬間です。

それと、毎日の暮らしの中で仲間たちと日常をともにすることも嬉しいことですね。日々一緒に暮らす仲間たちの人生を、映画館の特等席で見させてもらっているような感じなんです。日常をともにして、誰かの変化の瞬間を見た時、自分たちの関係が凝縮されている気がして、その瞬間にも幸せを感じます。

■立ちはだかる困難は、自分の心の反映

−シェアハウス運営の中で困難や、壁を乗り越えてきたことはありますか。

上林 私、つい相手の意向に沿おうとしてしまう癖があるんです。一緒に暮らす仲間に対して、生活を共にするくらいの密着度でそれをやろうとすると、自分のことがわからなくなったり、苦しくなってしまったりするんです。それが続くと、そのうち、一緒にいること自体が苦しくなってくる。
一緒に暮らす仲間たちのほかにも、シェアハウス経営を提案してくれたメンターの意向にも添いたいと思ってしまったことも苦しみに拍車をかけていました。
そのうち「私はこうしたい!」という思いを貫くために、宣言をすることができるようになりました。それによって空気が変わったんです。

−ご自身の心の課題が、シェアハウス全体の空気や、運営に直結しているんですね。

上林 基本的に私は怖がりなんです。改善意見みたいなものが出てきた時に、反射的に自分に対する「攻撃」のように感じてしまって、遮断したり逃げたくなってしまう。でも、運のいいことに指摘してくれた相手が、私が逃げてもちゃんと向き合おうとしてくれる人だったんですよね。
例えばの話ですが、自分の設定した家賃に自分自身が納得できていないと、自分が納得している価格じゃないから、人から何か言われただけで心が反応してしまうし、実際に言われる機会も増えてしまう、ということがわかったんです。

今は、価値は運営側が一方的に提供するものではなくて、みんなで一緒に創っていくものだと感じています。その「一緒に創っていける場」を作ることが、私たちの役割なんだと思います。

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パートナーと突き詰める「本当はどうしたいのか」という想い

−そうした困難を乗り越える時、パートナーは、どんな風に助けてくれるのでしょうか?

上林 私のパートナーは、必要以上に手出しをせず、見守っていてくれる人です。彼は、私の思いのウソとホントの発見器みたい。私自身、本当はどうしたいのか、ということを気づかせてくれますね。

困難は自分自身の心の反映なので、乗り越えた時に自分の器が自然と広がっているものだと思います。自分の器が広がることが、夢ベジハウスの発展とつながっている気がする。
目標を決めて、そこに向かって突き進むような経営よりも、「このあたたかさが広がっていると、世界はどうなるのか見てみよう」というのが私たちの経営の仕方なのかもしれません。

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シェアハウスを運営しながら、自分自身もそこに住んで、一緒に暮らす仲間たちとの関係性を育む上林さん。上林さんにとって、仕事人と家庭人、そして誰かのパートナーとしての自分のすべてが一致する場所が「夢ベジハウス」なのですね。立ちはだかる困難は自身の心の反映」という上林さんの言葉には、強い実感がこもっていました。それはきっと、彼女自身がシェアハウス運営という仕事において自分の思いを貫いてきたからなのだと思います。

=お話を伺った人=

上林さき(かみばやしさき):岐阜県出身。大学時代にアフリカのウガンダへ行き、3か月間小学校教師のボランティアに携わる。ボランティア仲間との共同生活の中で、自分の本当の夢は「大切な仲間と過ごす日常」の中にあったことに気付く。現在は、夢と健康(ベジ)を応援し合うシェアハウス『夢ベジハウス』をパートナーと仲間と共に育んでいる。その傍ら、占い師や、オフィス業務も行っている。

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ライター紹介

上瀧将郎

料理研究家・小説家。
大学時に小説を出版、ライターとして学費の一部を稼ぐ。

小学生の時に共働きの両親に夕食を作り喜ばれた事をきっかけに料理を始める。高校1年間は単身アメリカに留学。 理念は「世界に1つでも多くの幸せな食卓を創り出す」

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