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「仕事を頑張ることで、家庭も暖かく」料理という道の先にあったもの

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現在、Airbnbのホストとして民泊の事業をされている石井泰乃(いしいやすの)さん。「好きな料理を仕事にしたい」という思いから料理の道へ進んだ彼女が、様々な経験を経て掴んだ、仕事と家庭を両立させるための生き方について伺います。

友人の死が料理が特別な存在だと教えてくれた

−料理を始めたキッカケは何ですか。

昔から身体が弱かったので、自分にあった食事を摂りたいと思い料理を始めました。両親が共働きだったこともあり、中学生の頃からは私が夕食を作るようになりました。

−料理を仕事にしようと思ったのはなぜですか。

大学生のときにハワイへ留学をしたのですが、留学中に日本で友人が亡くなり、初めて死と向き合いました。知らせを聞いてからは、三日三晩泣きじゃくってしまい落ち込んだ日々を過ごしていたんです。けれど、キッチンで料理をしているときだけは不安が消えて落ち着くことができました。
友人の死は悲しい出来事でしたが、料理が大切な存在であることに気づくことができました。それまではハワイから帰国したら、もっと世界を知りたいと思っていたのですが、このときから帰国したら料理の道に進む準備をしたいと思うようになりました。
また、当時は両親が共働きで家族の関係が希薄になっていたこともあり、私の作る夕食で家族をつなぎたいという思いがあったことも大きかったです。

好きな料理を仕事にする怖さと向き合った就食活動

−すぐに料理を仕事にすることはできたのでしょうか。

帰国後、料理を仕事にするための道を探し始めたのですが、「好きな料理を仕事にしたい」という気持ちがある反面、人に料理出すことを怖いと感じている自分もいました。「おいしくない」と言われることが怖かったんです。
だから、「変わりたい」と思い、大学を休学し料理を仕事にするための修行期間として2年間の就“食”活動期間を設けることにしました。

−就食活動期間には何をされたのでしょうか。

最初の1年間は料理のアルバイトをして過ごしたのですが、2年目に東日本大震災が起きました。私はボランティアとして4月から被災地へ行きました。ボランティアに来ている方は自分で事業をされている方が多く、「料理を仕事にしたい」という私の思いを応援してくれるたくさんの仲間ができました。

ボランティアを通じて出会った仲間の一人が、自身の経営しているシェアハウスで料理を出さないか?と誘ってくれたんです。「私で大丈夫だろうか…」と不安はありましたが「この人達と一緒に仕事をしたい」と思ったので、思いきって踏み出しました。 

やりたいことなのに疲弊していく自分」を無視できなかった

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−シェアハウスの仕事を通じて気づいたことはありますか。

シェアハウスの仕事では、私の料理をみんなが喜んで食べてくれ、とてもやりがいを感じました。けれど、「やりたいことを仕事にしているのに、疲弊していく自分」がいることにも気がつきました。

シェアハウスの仕事は、料理を作ること以外にもリーダーとして様々な責任がありました。リーダーとして降ってくる仕事に応えたいという気持ちが強くあり、無理をして仕事をこなしていました。実は、同じようなことが就食活動の1年目にオーガニックカフェでアルバイトをしていたころにもありました。そのときも、好きな料理の仕事をしているはずなのに、TO DOに追われる日々が続き疲れが身体に出てしまい、思うように働くことができなかったんです。

シェアハウスの仕事はとてもやりがいがあり、好きでした。けれど、この違和感を放って置いてはいけないと思い、シェアハウスの仕事を辞めて自分が1番ホッとできる場所で取り組める仕事を探すことにしました。

−その場所はすぐに見つかったのでしょうか。

簡単に見つけることはできませんでした。なので、一流の世界に身を置くことで何か得られるのではないかと思い、東京の白金台にある日本家屋の料亭で中居として1年半ほど働きました。

−料亭での仕事を経験して、何か変わりましたか。

料亭で働いたことで、私が料理で大切にしてきたことを自覚することができました。一流の方と比べると、私は料理人とは言えません。家庭料理をしている女の子くらいの立ち位置だと思います。けれど、料理を始めてからできる限り毎日、自分自身そして家族の為の食事を作り続ける事を大切にしてきました。そこは私の負けないところだと胸を張って思えるようになりました。自分の大切にしてきたことを自覚することで、自信を深めることができました。

作り出した1番ホッとできる職場

−今は民泊の事業をされていますがどういった経緯だったのですか。

実家に他界した祖父が以前住んでいた家があったのですが、友人にその家を使ってAirbnbをやってみたらと声をかけてもらったことがキッカケで、料亭での仕事を辞め民泊の事業を始めることにしたんです。

2016年の2月にオープンし、これまで計30組の方にご利用いただいています。

※Airbnb(エアービアンドビー)とは、世界中のユニークな宿泊施設をネットや携帯やタブレットで掲載・発見・予約ができるサービス。

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−石井さんが1番ホッとできる職場は見つかったのでしょうか。

私にとって、その答えは「家庭」で仕事をすることでした。民泊のお客様のことは「家族」だと思っています。なので、昨日の食卓の残り物をアレンジして提供することもあります(笑)

家族だと思っているので、私が体調の悪いときは、お客様に先に寝るねと伝えて休むこともあります。お客様も家庭的な雰囲気を楽しんでくださいますし、私自身が「やりたいことを仕事にしているのに、疲弊していく」ということもなくなりました。

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−石井さんにとっての自分らしい生き方とは。

仕事が忙しいと、家庭が疎かになってしまうことがあると思うんです。私はそうなるのが嫌で、仕事と家庭を両立できるようになりたいと思ってきました。民泊の仕事を始めてからは、家のことをやることで、仕事のスキルアップにもつながると思えるようになりました。

今の生き方は、「仕事を頑張ることで、家庭も暖かくなる」そんなサイクルが作れていると思います。振り返ると不安もたくさんあったけれど、勇気を出して料理の道を歩んできてよかったと思います。

=お話を伺った人=

石井泰乃(いしいやすの):東京都出身。料理を仕事にしようと、大学在学中に休学をし、シェアハウスの運営や料亭の中居として働き経験を積む。現在は、料理の経験と大学在学中にハワイへ留学した経験を生かしAirbnbのホストを務める。

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ライター紹介

倉本 岳

レボキャリ代表。「1つでも多くの、努力が報われる世の中を作りたい。」との思いからレボキャリを立ち上げ。平成元年生まれ、上智大学卒業。趣味はマラソンとマンガ。趣味が高じてマラソンチーム(モニラン会)の代表も務める。

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  • ぼんやり好きなことで生きていけたらいいな、と思ってたのですが、石井さんの生き方を読んで私も自分と向き合いながら生き方を固めていこうと思えました